「綺麗ね」

シュレルはおもわずそう呟いた。
パークの中央にそびえる大きなクリスマスツリー、てっぺんに輝くのは大きな金色の星。
きらきらと暗闇を幻想的に彩るイルミネーションは、集まったリヴリー達を笑顔に変えていた。
口を開けて眺めていたシュロルもシュリラの嬉しそうな声に漸くゆるりとした笑顔を見せた

今日はクリスマス
世界で一番綺麗な夜

普段よりちょっと華やいだ世界に
人々は歓喜し、口々に叫ぶ、
メリークリスマス、今日が幸せであるようにと。

「ねぇ兄さん、ケーキは皆で作らない?その方がいい思い出になるし、ねぇそうしようよ!」

嬉しそうなシュリラの声に、思わずシュレルの笑みがこぼれる
毎年こうやって見に来ているパークのクリスマスイルミネーションも、
いつも最後にはこの会話になって、最終的にはケーキ作りが面倒なシュロルもシュリラの勢いに押されて皆でケーキを作るのだ
生クリームと格闘するシュロルの姿が目に浮かんで、シュレルは小さく微笑んだ

「俺は食べるの専門なんだけどなぁ…」

呟くシュロルがまんざらでもないことは、シュリラもシュレルも知っている、
だって去年だって彼は同じセリフをつぶやいて、生クリームの誘惑に負けて少し盗み食いはしたものの、
なんだかんだいって彼女たちのケーキ作りを手伝ったのだから

「ねェ、ケーキを作るのなら買い物はすんでいるの?」

シュレルの問いかけに、シュリラはあっと可愛らしい声を上げて眉をしかめる
苺がないわ!と声を落とした彼女にの顔にもイルミネーションの光はきらきらと反射して
その後ろで欠伸をしていたシュロルさえも幻想的に見せる

どうしよう、と泣き声をだすシュリラ、仕方ないわねと少しため息をついてシュレルもクリスマスツリーに背を向ける。
欠伸を噛み殺したシュロルがその後ろをついてきて、
3人はケーキを囲む姿を想像しつつ、寒い雪景色の中歩き出した。

大宮月姫 さま宅シュレルちゃんとシュリラちゃんとシュロルくんお借りしました!