「お前なァ」
思わずぽりぽりと頭を掻いてから俺様は落っこちそうな溜息をなんとか飲み込んでベイルを見た。
彼は相変わらす屈託のねェ笑顔だけをその顔にのっけてこっちをじっと見てやがるから、
なんだよ、みてるこっちが恥ずかしくなんじゃねェか、そんなことが言えるはずもねェ俺様はただ黙ってふぃっと顔を背けた。
「ね、一緒に作ってよ」
外したはずの視線が俺を追いかけて、そんなどうしようもねェ言葉をつぶやいて
「俺様は料理なんて作ったことねェんだよ、悪ィなァベイル!俺様はお前なんかと一緒にクリスマスケーキなんぞ、」
「いいよ、作ったこと無くても。僕だって作ったこと無いんだから、一緒だよ」
鼻で笑って宣言した俺の精一杯の皮肉も難なくそのゆるい笑顔で打ち壊して
ベイルはまた溜息をつきたくなるような優しい笑顔を浮かべて
あぁ、なんて、うっとうしい、
「わかんねェのかな?俺はお前とケーキなんか作りたくねェって、」
そう吐き捨ててやろうと覚悟をしたはずの俺様だったけれど
その刹那、ちくしょう、そう思わずにはいられなくなって
なぜならベイルはしかめっ面のままの俺様にその長身でがばりと抱きついてきたからで
俺様は突然のベイルの行動に目を白黒させながら、それでも結局、情けねェことに碌な抵抗もできねェままにその場で静止する。
「お願い」
耳元でささやかれたベイルの声、どんな暴言を浴びせようかと一瞬思案したのち、
ついに俺様は我慢していた盛大な溜息を吐きだして、
ひきょうもの、
と微笑んだままのモンスターに短く告げた。
白電話さま宅ベイルくんとレイヴァくんお借りしました!