結局ケーキを1ピース食べただけでおなかがいっぱいになってしまって、
鯉壱は俺に僕の分も食べていいよ、と笑って暖炉の前にもそもそ移動していったから、
俺は大喜びで鯉壱の分の残りのケーキを自分の皿にとりわけた
緑露が作ったケーキは食べたこと無いくらい美味しかったから、やめようと思っても食べるのが止まらないんだ。
「どうやって作ってんの?」
もぐもぐやりながら緑露に聞けば、彼女はでっかいソファを独り占めして、
俺から見ればバケツみたいにおっきなカップで紅茶をちびちびやりながらふんわりほほ笑んだ
「プリミットちゃんに喜ばれるように一生懸命心をこめて作らせていただいたんですわ」
「うっそだ!普通の作り方じゃこんな美味くねーだむ!」
「ふふっ、ありがとうございます、プリミットくん。お気に召したのなら一つおうちに持って帰る?まだいくつも作ってありますからね」
「いいの!?やった、ラッキー!!」
後から緑露に聞いた話だけど、このケーキ、ブッシュ・ド・ノエルって言うらしい
マスターに頼んで今度作ってもらおうかな、ぼんやりそう思いながらも俺はまた一口ケーキを口に放り込む。
暖炉の前で早くもぺっちゃんこに潰れて寝ている鯉壱を見ながら、緑露はそのあったかい微笑みを崩さなくて、
その笑顔は何故か俺にまで、しかもいとも簡単に伝染する。
だから俺は緑露が俺のことをちゃん付けで呼ぼうがくん付けで呼ぼうがどっちでもよくて、
緑露がさっそく箱に入れてくれるそのブッシュ・ド・ノエルを見つめるのに夢中。
はいできた、緑露がどこからともなく取りだしたリボンを慣れた手つきでケーキ入りの箱にかける
「クリスマスプレゼントですわ」
緑露がそっと手渡してくれた箱を俺はおずおずと受け取ってから
緑露の微笑みにつられるように笑みをこぼした
kent5さま宅プリミットくんお借りしました!