「私、貴方のこと呼んでないんだけど」
呟いた言葉は何故か彼の耳に届く前に都会のざわめきにかき消されてしまって、
残っているのは彼の明らかに自分勝手なご都合主義で成り立っているであろう怪しい微笑みのみ。
「『誰かと一緒にいたい』と言ったじゃあないか」
あっさりとそう言って見せるディル、
確かにそうは言ったけど、まさかまさかこの男がのこのこやってくるなんて計算違い、
計算違いどころか大失態、前言撤回前言撤回、クリスマスは一人つつましく過ごすに限る、
私の葛藤に気付くはずもない彼の手にはいつのまにか小さな紙袋、
はい、これサバンナにクリスマスプレゼントね、ポンと押しつけられたその紙袋を不本意ながらも思わず受け止めれば、
私が喜んでいるとでも本気で思っているのかディルは腹立たしいこと極まりないその微笑をたたえたまま堂々と空いた右手を私の腰にまわした
「今夜は我がずっと一緒にいてあげるよ、心配はいらないからね」
腰にまわされた右手、囁かれた言葉にぎょっとして眼を開けば、
するりと今度は左手が私の髪を撫でて、目前にはちょこんとほほ笑むディルの顔、その距離30cm。
抵抗する間もなく額へ落とされた小さなキスにもう何が何だか分からなくなって、
恥ずかしいやら悔しいやらでただただ目を白黒させるばかりの私。
ディルはあははと小さく笑って、「脈拍、心拍数ともに上昇。効果あり、かな?」だなんて余裕の発言までして見せるから、
最悪最悪、来年のクリスマスは、ディルを除く複数に決定、!!!
りおさま宅ディルくんとサバンナちゃんお借りしました!