箱とって、と姉ちゃんは呟いて俺は言われた通りに足元に転がっていたイルミネーションランプの箱を差し出す。
梯子の上の姉ちゃんはもうすでにいくつもオーナメントを抱えていて、先にランプつけてからオーナメントつけろよなァ、
俺はそれぐらい常識だろと思いながら姉ちゃんがはしごの上で絡まり合ったコードと格闘するのを呆然と見上げていた。

「絡まっちゃった!どうしよう!!」

大丈夫だよ姉ちゃん、それ箱に入ってた時から絡まってたんだ。
今年こそはと姉ちゃんが企画したクリスマスパーティーは、狭い我が家に友達大勢呼んで、料理作って食べて大騒ぎして、
ようは外人のホームパーティーみたいな乱痴気騒ぎしようっていう、姉ちゃんらしいかっこよすぎる計画だった。
いつも以上に張りきって装飾の飾り付けやら料理やらつくる姉ちゃんは、ただ見ている俺にはもはやたくましすぎるほどで
俺的にはまぁ姉ちゃんのともだちってロリいるのかなァぐらいの気持ちなんだけど、
頭のてっぺんから靴下の先っちょまできらきらのモールの破片くっつけて楽しそうな姉ちゃんみてるとなんだかこっちまで楽しくなってきちゃうから不思議だ。

やっとのことでコードを制した姉ちゃんが、ツリーのてっぺんにつけた星は馬鹿みたいに鮮やかで
てっぺんに括りつけたコードを下に垂らして、俺にそれをぐるぐる回って巻きつけろって梯子の上から指示を飛ばす姉ちゃんも、
ため息をつきながら、それでも大人しく姉ちゃんの指示に従う俺も、
なんだかんだいって馬鹿みたいに今年のクリスマスを楽しんじゃってるわけで

当然パーティーのトリは俺と姉ちゃんのライヴパフォーマンス
さっきまで準備していた俺のアンプにつながったままのギターでさえ、楽しそうに鳴った気がした

よもぎさま宅ジェネシスちゃんとエターナルくんお借りしました!